産婦人科について

当科は日本産科婦人科学会専門医制度研修指導施設に指定されており、産科・婦人科疾患の全般にわたって診療しています。

現在は、鹿内智史、杉田奈穂子、和田 渚、南 怜毅、服部理史の医師5名で診療を担当し、産科周産期全般、婦人科腫瘍(良性・悪性)、不妊症、月経異常、更年期・心身症疾患、性器脱、女性ヘルスケアなど多岐にわたり女性をサポートする医療を行なっております。

産科

産科は十勝地方における地域周産期母子医療センターに指定されており、十勝内の未熟児・周産期医療を担当しています。
これからも継続して、十勝圏内の周産期医療を担っていく存在として精進して参ります。
当院では、積極的に里帰り分娩や他院からの紹介、他院からの救急搬送にも対応しております。分娩制限は行っておりませんので、お気軽にご相談ください。

転院や里帰り分娩をご希望される方へ

妊婦32週~34週までに受診していただくことをお願いしております。現在妊婦健診を受けている病院またはクリニックの紹介状・検査結果を用意してください(通院先の病院・クリニックにお問い合わせください)。紹介する病院からの事前予約のみ可能となります。

【連絡先】電話:0155-22-6600 産婦人科外来まで
【受付時間】14:00~16:00(平日のみ)

妊婦健診について

胎児の発育や母体の異常の早期発見に努め、定期的に健診を行っております。また、当院では同意を得た上で「助けられる赤ちゃんを助ける、できる限り後遺症を減らす」目的で特定の週数で胎児形態異常スクリーニング検査を実施しております(原則無料での実施としております。詳しくは産科医師・助産師にお問い合わせください)。
また、当院の産科外来には上記の目的も兼ねてGE Healthcare社の超音波装置Voluson E8を導入しており、胎児3D/4D画像によりリアルタイムで胎児が元気に動いている姿を見ることもできます。

※胎児の画像は許可を得て掲載しております。

マタニティ相談室

妊娠初期から中期に、産科病棟スタッフがお話を伺う機会を設けております。不安なことや聞きたいこと、どのようなお産をしたいのか等がある場合には、お気軽に相談してください。

母親学級(マタニティクラス)

楽しく快適なマタニティライフを送るため、赤ちゃんを迎える準備をするためにお産と育児の準備教室として母親学級を開催しています。病棟スタッフや妊婦さん同士の交流の場としても良い機会となっております。

対象:妊娠30~35週の妊婦さん
日時:第1・3金曜日 午前10:00~ 約2時間
内容:★入院するタイミング
   ★お産の経過や過ごし方ついて
   ★赤ちゃんを抱っこする練習や、母乳育児について
場所:第4B病棟 指導室
持ち物:母子手帳 筆記用具 当院母親学級テキスト「わたしのお産」

※ 尚、コロナウィルス感染拡大防止のため休止していることが
  あります。詳しくはスタッフまでお問合せください。

申込方法

【初産婦】
当院でお産される方は全員対象となります。申し込みは不要です。

【経産婦】
妊婦健診初回時に受講希望の有無をお聞きします。当院で初めてお産される方・前回のお産から時期が経過されている方は受講をおすすめします。

母乳ケア・育児に関して

当院ではお母様のご希望に沿った授乳スタイルをスタッフと何度も話し合いながら、お母様と赤ちゃんにとって最良の母乳育児を支援させて頂きます。

母の意思を尊重した栄養方法の選択を行っています。

  • 妊娠中から栄養方法を選択できるよう、情報提供、援助を行っています。
  • 経腟分娩の方:産褥1日目、3日目に栄養方法の希望を聞いています。
  • 帝王切開の方:入院日、産褥5日目に栄養方法の希望を聞いています。

母とスタッフが共通の目標を持てるように支援を行っています。

  • 希望される栄養方法が行われているかお話を聞いて、できる限りお母様のご希望に添えるように支援しています。

骨盤ケアに関して

腰痛でお悩みの方、早産予防に使用したい方、妊婦健診の際に外来スタッフにお声かけください。

母児同室に関して

産科病棟の病室は母児同室・異室を希望で選択できますが、とくに初産婦さんには育児に慣れることができるように、母乳栄養を確立しやすいように、母児同室をお勧めしています。

産後2週間健診

当院で出産されたお母さんと赤ちゃんに対して、助産師による健診を行っています(有料・希望制)。
詳細については、入院中にスタッフより説明があります。

産科病棟の紹介

当院でのお産について

自然分娩を中心に、誘発・管理分娩、選択的帝王切開、胎盤位置異常における帝王切開術、必要時には緊急帝王切開を行っております。
以下は自然分娩を中心にご紹介いたします。


1)フリースタイル

お産の時にどのような姿勢が楽なのかはひとそれぞれです。お産のときは仰臥位(仰向け)、側臥位(横向き)、四つん這い、座位(座った姿勢)など様々な体位を取れます。ご自身にあった体勢で分娩期を過ごせるようにサポートしていきます。


2)立ち会い分娩
新型コロナウィルス感染対策のため休止しておりました が、2023年5月8日より再開することといたしました。
立ち合い分娩の方法については産科外来でお話いたしま
すので、お気軽に産科スタッフまでお訊ね下さい。

入院のとき必要なもの

  • 母子手帳、診察券、健康保険証、入院証(外来のときにお渡しします)
  • 産褥ショーツ、授乳用ブラジャー
  • 日用品(タオル、洗面道具、入浴道具、コップなど、※ドライヤーは貸出あり)
  • パジャマや部屋着、上靴
  • 夜用の生理用ナプキン
  • ガーゼ、ハンカチ、ボールペン(必要書類記載が少なくなくないため、持参のボールペンがあると便利です)
  • 母親学級のパンフレット(わたしのお産)
  • TVイヤホン(2人・4人部屋利用時)

退院の時に必要なもの

  • あかちゃんの肌着
  • チャイルドシード、ベビーカーなど

※入院時にお産セット(ナプキン・あかちゃんのおしりふき・母乳パット)をお渡ししています。

入院病室は個室・2人部屋・4人部屋があります。(個室、2人部屋は差額ベット料金がかかります)

入院中のスケジュール(例)

  分娩した日
(0日目)
1~4日目 5日目 6日目 8日目
経産婦 あかちゃんは
新生児室でお預かりします。 
母児同室であかちゃんと一緒に過ごします。
授乳の練習、沐浴の説明、退院後の説明を行います。
帝王切開の方は体調に合わせて母児同室や説明を行っていきます。
お祝い膳(月・水・金に配膳)は経腟分娩は産後3日目、帝王切開は産後7日目の夕食に予定しています。 
退院    
初産婦   退院  
帝王切開での分娩     退院

退院後の支援について

退院後、約1週間に電話訪問を行っています。
また、随時児の体重測定、育児相談、おっぱいの相談も受け付けております。下記へご連絡ください。

【連絡先】電話:0155-22-6600

費用について

妊婦健診:3,800円

採血などの検査がある場合や超音波検査のみの場合は金額が異なります。
十勝管内在住の方はお住まいの各市町村の妊婦健診助成金が使用できます。

分娩費用

  • 初産婦であれば55万円前後(分娩から6日目退院となる場合)
  • 経産婦であれば52万円前後(分娩から5日目退院となる場合)

・治療内容によっては一部健康保険の適用になる場合や、入院日数に応じて費用は異なりますので、費用額についてはあくまで目安としてください。

 *当院ではできるだけ現金でお支払いいただかなくても済むよう「出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度」をご利用いただくことを原則としております。

婦人科

月〜金曜日の午前外来は新患を毎日受け付けております。

一般婦人科診療として、子宮や卵巣の腫瘍の他、無月経、不正出血、月経痛、月経量の異常、性感染症、更年期障害、子宮脱・下垂、異常な帯下、かゆみなど婦人科関連のあらゆる症状に対応いたします

体外受精につきましても、当院での実施は行っておりませんが、札幌の体外受精実施施設や大学病院等と綿密な連携をさせていただいておりますため、お気軽に御相談下さい。

【連絡先】電話:0155-22-6600
【受付時間】9:00~16:00(平日のみ)

1. 体にやさしい低侵襲の婦人科手術

婦人科腹部手術のうち、約1/2が腹腔鏡下手術に(2015年度)

当院では手術を要する婦人科良性疾患に対して、現在多くの疾患に対して腹腔鏡下手術を御呈示しております。

一般的な開腹手術はお腹の真ん中を真っ直ぐに切開させていただくことがほとんどです。

現在も当院の腹部手術の約半数がこちらの手術を実施しております。

一方で、残りの半数は腹腔鏡下手術を実施しております。

腹腔鏡はお腹の中(腹腔)を観察するカメラの事です。
おへその近くに1cm程度の小さな穴を開け、そこからカメラを挿入します。さらに左右の下腹部に数箇所の小さな穴を開け操作用の器具を挿入します。へそから挿入したカメラ通して腹腔内をテレビモニターで見ながら手術を行います。術式によっては、恥骨付近の皮膚に数㎝の小切開を加えることもあります。

腹腔鏡手術は、従来の開腹手術に比して、

  • 「侵襲が低い」 「傷が小さくきれい」
  • 「術後の回復が早く早期の退院や仕事復帰が可能」
  • 「術後の腹腔内癒着が少ない」

などの特徴があります。

いいことづくめのように感じられるかもしれませんが、腹腔鏡下での手術は開腹手術より難易度が高い傾向にあり、また手術時間も長くなることが多いため、術者の負担や手術技術の要求の程度は大きくなります。したがって、実施の可否については精密な検査と正確な病状の評価が必要となります。
当院で腹腔鏡下に実施可能な手術として、代表的なものとしては以下の通りです。

卵巣腫瘍(良性)に対する手術
(卵巣腫瘍のみの摘出・卵巣そのものの摘出)

動画:子宮筋腫摘出術の例 (傷の場所が一部異なります)

子宮筋腫に対する手術
(筋腫の摘出・子宮の摘出)

動画:卵巣腫瘍のみの摘出術の例

他 子宮外妊娠の手術, 卵巣出血の手術等緊急の手術

もちろん上記だけに限らず、御相談いただけましたら広く検討させていただきます

に当院における手術創の模式図をお示ししておりますので、御参考にされて下さい。

大きなものや強固な癒着が予想されるものについては残念ながらお断りさせていただくこともございますが、まずは外来にて御相談いただければと思います。

当院での腹腔鏡下手術風景(画像は一部加工しております)

なお、子宮がん・卵巣がんの手術もこれまで通り実施しておりますが、こちらは原則開腹手術となっております。

また、当院には放射線治療の設備がないため、集学的治療が必要な一部の進行癌症例は帯広厚生病院に紹介しておりますこと、御理解下さい。

(産婦人科・小児科医師および助産師・NICUスタッフが参加)

2. 術後早期回復への取り組み

かつては常識とされていた術後の長期間の安静や、つらい長期間の絶飲食・余分な点滴治療は、術後回復のためにはむしろ逆効果であることが医学的に証明されております。
当院産婦人科手術においても、平成28年度より全ての予定手術においてERAS (Enhanced Recovery After Surgery) プロトコール(ヨーロッパから始まった術後回復強化プロトコール)を開始いたしました。

ERASプロトコールとは何だろう……?と疑問に思われるとは思いますが、これは術前・術中・術後の様々な視点からの工夫を組み合わせた方策の総称となっております。たとえば、当科では手術当日午前中まで飲水は許可されており、ほぼ全ての手術で術当日の飲水と翌日からの食事が可能となっており、術前後の絶飲食のつらい時間が短くなり、術後回復も早まっています。
術前飲水の詳細については入院時にスタッフよりご説明させていただきますが、概略は以下の通りです。

ERASプロトコール概要

具体的には・・・

▼脂肪や食物線維、つぶつぶ等を含む飲み物の例

手術中も麻酔科と協力のもとで、麻酔薬や他の薬品も体に負担の少ないものが優先的に使用されます。また、術後の痛みをとった上で、早い段階で歩いていただき、早期の回復を目指してスタッフ一同全力でサポートさせていただいております。

3. 当院の不妊治療

お子さんが欲しいけれど、なかなかできにくいとお悩みの方、お気軽にご相談ください。当院では不妊症関連の一般的な検査からタイミング療法、排卵誘発療法、人工授精までの治療を行っております(ただし、体外・顕微授精などの高度生殖医療は扱っておりません)。

不妊症とは

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。
不妊の原因は様々ですが、男性側、女性側あるいはその両方に原因がある場合がありますが、原因不明のこともあります。
お悩みがあれば、まずは当院へご相談ください。

【連絡先】電話:0155-22-6600
【受付時間】9:00~16:00(平日のみ)

不妊症の検査

★内診・経腟超音波検査
子宮内膜症や子宮筋腫、クラミジア感染症などの病気がないかどうかを調べます。子宮内膜ポリープや子宮内膜症、子宮筋腫などの疑いがある場合には、子宮鏡やMRI検査を追加して行う場合もあります。

★子宮卵管造影検査
左右の卵管の通過障害がないか、子宮の形に異常がないかどうかを調べます。

★ホルモンの検査
女性ホルモンの分泌や甲状腺機能、血糖値などを調べる血液検査です。妊娠が成立する時期(黄体期)に十分な女性ホルモンが分泌されているかどうかを調べておく必要もあるため、一般的には月経周期にあわせて2回の検査を行います。

★性交後試験(Huhnerテスト、またはPCT)
排卵直前の最も妊娠しやすい日に性交を行い、翌日、女性の子宮頸管粘液を採取し、その中に運動精子を認めるかどうかを調べます。直進運動精子が認められない場合は、免疫因子(抗精子抗体)の有無などを調べます。

一般不妊治療について

女性に限定してですが、主に当院では以下の治療を行っております。

★タイミング療法
排卵の2日前ごろ、最も妊娠しやすいと言われている時期に性交を持つようにする方法です。卵胞の大きさや子宮頸管粘液、尿中ホルモンを測定し、排卵日を推定します。排卵日の周辺で数回の通院が必要な場合があります。

★排卵誘発療法
内服薬や注射で排卵を促す方法です。注射の場合、頻回の通院が必要なことがあります。排卵障害の場合に使用する方法ですが、正常の排卵があっても、妊娠率を上げる目的で使用する場合もあります。

★人工授精
マスターベーションで採取した精液から良好な精子を取り出して、最も妊娠しやすい時期に子宮内に注入する方法です。

主に上記の治療を行っておりますので、不明な点がありましたら下記へお気軽にご連絡ください。

【連絡先】電話:0155-22-6600
【受付時間】9:00~16:00(平日のみ)

産婦人科 主要手術 (2022年4月1日~2023年3月31日)

婦人科 
手術名 合計
子宮脱手術 17件
子宮頚部レーザー蒸散術 2件
子宮頚部切除術 42件
子宮筋腫核出術(開腹による) 0件
子宮筋腫核出術(腹腔鏡による) 3件
経頸管的切除(子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫) 4件
子宮全摘術(腹式・腟式) 14件
子宮全摘術(腹腔鏡による) 37件
子宮悪性腫瘍手術 10件
卵巣腫瘍・附属器摘出術(開腹によるもの) 14件
卵巣腫瘍・附属器摘出術(腹腔鏡によるもの) 56件
子宮附属器悪性腫瘍手術 3件
その他 (開腹によるもの) 2件
その他 (経腟によるもの) 5件
その他 (腹腔鏡によるもの) 2件
産科
手術名  合計 
選択的帝王切開術 22件
緊急帝王切開術 22件
子宮外妊娠手術 3件
合計258件

分娩件数 (2022年4月1日~2023年3月31日)

分娩件数 合計291件

過去の手術件数(PDF)

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